第1章

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 しかもサクラや拓と違い飛鳥であれば簡単に誘導して聞けそうだ。(飛鳥も内心では喋りたくてうずうずしているのがありありと分かる)しかし、話を聞けばサタンたちより怖いことが起きそうなので、ギリギリのところで宮村は我慢した。そして予想と違い秘密暴露ができず飛鳥は少しだけガッカリした。 「武器は……使うとして、ウチが探しとったんはコイツとコイツやな」  そういうと取り出したのは携帯電話と小型電子機器だ。 携帯電話はサクラが何度か使っていて宮村も分かる。 「しかし問題があるねん。この携帯電話、生体認識セキュリティーがあって、アイツかユージさんしか使えへん。もっとも…… 暗証コード打ち込めば準登録者は使える」 「つまり飛鳥ちゃんや拓さんは暗証コードを打てば使えるって事ね」 「そして、暗証コードは忘れた」  さらりと絶望的な事実を答える飛鳥。 「あとはこいつ。これは確かあのクソガキが、ウチらの手錠を解除しとった機械や」 「それも万能道具?」 「ううん。これはCIAの現場捜査官が使っとる電子装置や。これを使えば皆の腕輪が外せるンやけど……」 そういうと飛鳥は端末機の電源を入れて付属の金属製のスティックを取り出し、宮村の腕輪にある鍵に当てる。しかし操作法が分からないから動かない。  なんとなく、宮村は飛鳥が言いたいことを理解した。 「飛鳥ちゃんの本当の目的はこいつね。でも使い方が分からない。サクラちゃんはCIA…… じゃないよね、まさか」 「これはCIAの友達からチョロまかしてきたものやと思う。当然誰かはちと言えへん。サクラも最初は使い方ワカランかったけど、どうも途中から分かったみたいなんやなぁ」  その言葉で宮村は、思い出した。  最初に腕輪を外したのはサクラだったが、元々サクラの腕は細く、サクラは機械を使わずすり抜いて外した。その後飛鳥が外し、二日目の深夜……正しくは三日目の明け方前、<煉獄>を拓とサクラが襲撃したとき拓も外した。爆発と共に拓の信号が消え、一同動揺したから覚えている。  その後三日目の朝に涼を保護したとき涼の腕輪はなかった。サクラかサタンが外したのだろう。 「つまり…… サクラちゃんがこの機械で腕輪を最初に外したのは日付が三日目になってから…… 多少前後はするけど、携帯電話が使えるようになった前後なのね!」  元々サクラは使い方が分からなかった。
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