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シンプルな無地の黒いシャツを羽織って、手足はすらりと長く、細身のジーンズがよく似合っている。
さっきはきちんと見えなかったけど、格好良い雰囲気というか、普通に格好良いし。
年も近そうな格好良い人と、こんな食いしん坊っぽい姿ですれ違うのはちょっと恥ずかしい、そんな乙女心から、俯いて通り過ぎようとした。
すると。
ん?
彼とすれ違った瞬間にほのかにシトラスが香る。
思わず振り向くも、彼はすぐ後ろの曲がり角で曲がってしまったようで、視界からすっと消えてしまった。
追いかけていくなんてできるわけもなく、誰もいない曲がり角をただ見つめる。
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