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先生は決定的な波風を立てる気はないのだ。
それでも夜になるとメールがしたくなる。
電話がしたくなる。
声が聞きたくなる。
抱きしめて欲しくなる。
理由を聞きたいし、聞きたくもない。
もしかしたらこの気持ちを創作の力に変えられるのではないか。
他の欲望を抱え込む隙間をなくしてしまうくらい、仕事にのめり込みたいとさえ思った。
自制心をどうにか効かせて、剥き出しにしてしまいたい心を毛布に包んで眠るしかなかった。
二人が同時に、同じ速度や重さで愛を貫くことなんて不可能だと、これまで経験してわかっていることだったのに、その事実に改めて愕然とした。
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