scene 30

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「最初からわかってたんですよ。奥さんがいることも」 「なのに本気になった?」 「気付いたら、なってたのかな」 「瑞乃ちゃんにも恋人がいる。だから苦しくて仕方がないってところか」 「もう、彼氏とは終わりました」 「別れたってこと?」 「はい」 泰輔さんになら、こんなに簡単に打ち明けられるのに、どうして先生には言えなかったのだろう。 「水島は知ってるの?」 「知らないです」 「どうして言わないの?」 「先生にとっては、私に恋人がいるかどうかなんて、問題じゃないんですよ。かえって恋人と別れた女は、負担になっちゃうじゃないですか」 「それは違うんじゃないかな。俺は平気で二股も三股もかけるけど、相手の女の子は俺一筋でいてくれた方が嬉しいよ」 「それって、説得力がないですよ」 「そうかな。男って、そういうものだと思うよ。瑞乃ちゃんは考えすぎなんだよ。こうすれば相手はこう思うだろうなって、もっと単順に考えろ」
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