Alegria

15/40
前へ
/43ページ
次へ
「だめだめ! 汚くてショウが病気になっちゃう!」 「いや、なんないでしょ。まぁ、嫌だっていうんなら帰るけど」 「……やじゃない! 泊まって、欲しいけど」 「どっちだよ」  エコは俯いて黙り込んだ。  珍しく、何か言い辛そうにしているエコを見て、ピンときた。  ああ、そうか。  俺がこの間あんなことしたから、何かされるかもしれないってビビってるのかも。  ……でも、そんなこと俺に直接言えるわけもないし。  俺は上着を持って立ち上がった。 「やっぱ俺帰るわ」 「え、ショウ?」  エコは俺の腕をがしっと掴んだ。 「ごめん。俺が泊まるとか、ふつーに気持ち悪いよね。こないだあんなこと言っといて」 「なんで? ショウはきもち悪くない」 「いや、逆の立場だったら何かされるかもって俺もちょっと考えるし。エコも今思ったでしょ?」 「思ってない! ほんとにそんなこと思ってないの、エコはへーきだよ、ショウ?」 「いーよ気遣わなくて。俺も自分でわかってるから」 「じゃあショウ、エコのして」  エコは俺の両肩をしっかりと掴んで真剣な表情で言った。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加