Alegria

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「久し振りだね、ショウ。こんな日に遅くまでご苦労さま」 「……あ、社長。お疲れさまです」 「天気予報通り、少し雪が降り始めてきたよ」  そう言いながら社長こと、京谷(キョウヤ)さんはコートを脱いだ。  俺は慌てて京谷さんのコートを預かった。  同じ大学、同じ学部の卒業生。  酒の席で偶然知り合った京谷さんに気に入られたのが、この仕事を始めたきっかけだった。  就職活動についての相談を何度かしているうちに、なぜかこの店でアルバイトをするようになり今に至る。  働くようになってからあまり話をしていなかったから、突然の来訪は素直に嬉しかった。 「ショウのおかげでここは商売繁盛だよ。いつも遅くまでありがとう」 「……いえ。今日はどうされたんですか?」 「仕事でこの辺に用があってね。……しかし、不動産の又貸しはやっぱりトラブルが尽きないな。外国人はイマイチ言葉も通じないし、文化も違うから」 「確かに……。お疲れ様です」 「それはそうと、ショウはフリー?」 「今は彼女居ないですね。京谷さんこそ彼女いないんですか?」
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