Alegria

22/40
前へ
/43ページ
次へ
「ああ、やっぱり上手いね」 「良かった、実はちょっと緊張してて」 「……マッサージは自分で研究してるの?」 「いえ、DVD見たりとか……そのぐらいですね」 「へえ。それでもこんなに気持ちいいのか。……これなら、マッサージ料金もうちょっと高くてもいいかな」 「まだ競合も少ないですし、もう少し上乗せしてもお客様は来ると思います。リピートも多いんで」 「なるほど、参考になるよ」  京谷さんはマッサージされながらも、頭ではビジネスのことを考えていた。  こういったグレーゾーンの商売だけじゃなくて、飲食店やネイルサロン、色々なビジネスを手がけてその全てを成功させている。  ……俺の憧れだった。 「やっぱり、お客さんから要求される?」 「何をです?」 「性欲のはけ口としてのマッサージを、さ。ほら、うち値段安いからお客さんもゲイだけじゃないとは思うけどさ」 「うーん」  なんて答えるべきか悩んでいると、京谷さんはうつ伏せのまま首を俺に向けた。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加