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俺は慌てて京谷さんの額を押さえた。
「……ちょっと、京谷さん!」
「仕事は、仕事か?」
「そ、そうです」
……今、本気でやばかったかも。
京谷さんがくすっと笑うと、俺の頬はかあっと熱くなった。
「……コーヒー、どうぞ」
「ありがとう」
ソファに座って脚を組み、京谷さんは煙草に火をつけた。
「ショウ、隣に座って。少しだけ仕事の話をしたい」
駅に着いた時には22時30分を回っていた。
これじゃもう間に合わないかもしれない。そう思いながら人混みの中エコを探した。
エコは壁に寄りかかってしゃがみながら、空から舞い落ちる雪を眺めていた。
「ごめん、エコ」
「あ、ショウ。お疲れさま」
俺が隣にしゃがむと、エコはにっこりと微笑んだ。
「遅くなってほんとごめん」
「いーよいーよ。だってショウもともと仕事だって言ってたし、無理矢理約束したのエコだし」
「でも、クリスマスライトが……」
「……着くころにはおわっちゃうねえ。でもさー、よく考えたらショウは寒いの嫌いだったよね」
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