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申し訳なさから俯くと、エコはいつもみたいに俺の頬に触れてきた。
褐色の指先はひんやり冷たかった。俺はエコの手の上に自分の手を重ねた。
「……あのさ、寒いしどっかいく? そうだ、飲みに行こうよ。さっきボーナスもらったし、俺におごらせて」
「うん! あれ……ショウ、なんかいい匂いするね」
俺の髪に鼻を近づけて、エコは首を傾げた。
「ああ……社長のかも」
「えっ?」
「シャワー浴びた後にフレグランスつけ直してたから、それでかな」
「……え?」
「寒い。……早く移動しよ、エコ。……エコ?」
俺はエコのダウンの袖を引いた。
俯いて何か考えごとをしていたと思ったら、エコは顔を上げてにっと笑った。
「やっぱまた今度にしよ、ショウ。今日はつかれたでしょ? 無理しないで。また今度あそぼー」
「なんだよ、急に。別に疲れてないって」
少し声を荒げると、エコは首を横に振った。
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