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「もうおうち帰ろー? ショウ。あ、そうだこれクリスマスプレゼント。あんまり好きじゃないかもしれないけど、頑張って選んだ」
「俺に? ごめん、俺何にも用意してないよ」
「いーよ、ショウと会えたのが、エコにとってはプレゼントだから」
エコはふわりと俺の背中に腕を回した。
ぎゅっと体を引き寄せられて、冷たい唇が微かに耳に触れた。
「好き、ショウ……」
「え?」
「プレゼント渡せて良かった! ……バイバイ、ショウ!」
エコは言いながら立ち上がると、ブンブン手を振って駅の人混みに吸い込まれていった。
「エコ!!」
聞こえてるくせに、エコは一度も振り返らなかった。
俺は、エコからもらったプレゼントのラッピングを解いた。
中から出てきたのは、寒がりの俺にぴったりな、手に持っただけでも温かさを感じるカシミヤのニットだった。
ありがとうも伝えられないまま、クリスマスは終わった。
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