Alegria

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『何かあったのか』 「友達を怒らせちゃったかもしれなくて……。すごく、大事な友達なんです」  これだけじゃ何もわからないはずなのに、京谷さんはすぐに「わかった」と言った。 『クリスマスの日、駅で見たよ。大事な約束があったなら、別に俺のマッサージなんて断ってくれて良かったのに』 「でも……」 『いや、俺も悪いよな。断れるわけないの分かってて、あの日に行くんだから』 「京谷さん?」 『クリスマスだからショウの顔が見たかった』  なんて返事をしていいのかわからなくて俺が黙ると、京谷さんがふっと息をこぼした。 『……冗談だよ。……友達のホームタウンは?』 「プエルトリコです。連絡取れないけど、今戻ってるんじゃないかと思うんです。だから俺――」 『行っておいで、ショウ。時間が経つほど、誤解を解くのは難しくなるから。その代わり戻ったら必ず俺に連絡して』 「ありがとうございます、ちゃんと仕事で返しますから!」 『ああ、頼むよ』  京谷さんの言葉が俺の背中を後押ししてくれたように思う。  俺は会社説明会もセミナーも、友人や家族との約束も全部捨てて、インターネットで航空券を購入した。
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