第1章

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「チチが牛並みだからって、 頭の中身まで牛並みかよ! どんなに若くて美人でも、 ぼくが気に入らない女はみんな追い出してやる!」 「はいはい」 「おまえもだぞ! 千恵(ちえ)さんの孫だかなんだか知らないけど、 ぼくがその気になったら、 おまえなんかすぐに追い出せるんだからな!」 「はいはい。 じゃ、 その前に晩ご飯食べちゃってくださいな。 はい、 坊ちゃんの好きな豆ご飯に出汁巻き卵」  ほわんとたちのぼる炊きたてご飯の良い香りに、 さすがのわがまま坊主も一瞬黙った。 「それに、 あたしを追い出したからって、 おばあちゃんはすぐには戻ってこられませんよ。 ギックリ腰で十日は安静が必要なんですから」 「……千恵さん、 そんなに具合悪いの?」
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