プロローグ

2/12
前へ
/24ページ
次へ
「ご注文がお決まりになりましたら・・・あれ?」 ウエイターの人が、私の持っていたチラシに気づいたらしい。 「もしかして、バイトの?」 「え、あ、あの」 とりあえず今日は見学。そのつもりで来たんだ。 チラシなんか持ってこなきゃよかったと今更ながら後悔する。 「西山ー。この子、バイト募集の見てくれたみたいだぜー」 ウエイターの人がカウンターにいた男の人に呼びかけた。 「あっ、今日履歴書とか持ってないんで・・・」 「そうなの?」 今日はそのつもりじゃないと伝える前にカウンターにいた人が来た。 「春。お前な、お客さんの前ではオーナーって呼べよ」 え?こんな若い人が、オーナー!? 「いいじゃんそんなの。 ってか、今日履歴書持ってないんだって」 「そうでしたか。 でもここに興味持ってくれたんですね」 「・・・ええ、まぁ」 それは確かな事だけど。 「じゃあ履歴書なくても大丈夫ですよ。・・・さっそく、面接しますか?」 「え!?あの、その・・・」 「いくらなんでも急かしすぎじゃない?」 春と呼ばれたウエイターの人が笑う。 そうだよ、履歴書ないって言っているのに。 「では、店の雰囲気をじっくり味わっていただいて、それから面接しませんか?」 オーナーさんがにっこり笑って言う。いや、だから履歴書ないし…。 なぜそんなに面接したいんだろう…。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加