第2章 白百合の君

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割れたカップを見て上級生が怒鳴る。 「ごめんなさい……カップは弁償します……」 怒鳴られた彼――。 たしか名前は望月愛斗(もちづき まなと)だ。 ピアノ科の1年生。 女の子のように際立って可愛らしいルックスと。 人懐っこい性格でみんなから『マナ、マナ』と呼ばれ愛されている子。 「どうすんの?一点物だよ?」 「弁償して済むって話じゃないだろう!」 マナは脅えた視線でおろおろと辺りを見回す。 それでも彼を助けようとする者はいなかった。
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