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「さあ、どうだろうね。試してみないと、なんともいえないな」
必死で上げた声に、
微動だにしない男は、自信ありげに、私の耳元でほくそ笑む。
「これはセクハラです、立派な犯罪です。警察につかまりますよ、いいんですか? 天下の谷田部グループの顔に、泥をぬっちゃいますよっ」
お金で全てが思い通りになると信じている男に言っても、無駄だと知りつつ、正論をまくし立てる。
「こちらは、合意の上だと主張するだけだ。だってそうだろう?」
「なっ……?」
「ひとつ、君は、自分から、リムジンに乗り込んだ」
「……っ」
痛い所を突かれて、反論できない。
「ふたつ、君は、自分から、ホテルのペントハウスに訪れた」
「……」
「みっつ、私が、強制したのではなく、すべて君の自由意思で、ここにいる。それに……」
まるで、社交ダンスをしているように、クルクルと体ごと回され、爪先立った足がたたらを踏む。
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