24 計略-3

22/37
前へ
/37ページ
次へ
ゆらゆらと、体が揺さぶられ、 触れるか、触れないか、 耳元ギリギリに寄せられた唇から、クスクスと、愉快気な笑い声が漏れおちた。 「君の会社の玄関フロアで、見ていた野次馬女子社員たち。このホテルの受付。ああ、それと、フロントで君とぶつかった老人。全員が、証言してくれるだろう」 熱を帯びた息がかかるおぞましさに、思わず、ギュッと目をつぶる。 「君が、自分の意志で、ここに来たことをね」 ――やられた。 この男、 最初から、『このつもり』で、行動してたんだ。 それを、予想すらできなかった、私が間抜けなんだ。 どんなに後悔しても、後悔は先に立たず、 蛇に睨まれたカエルの運命は、もはや、風前の灯。 だけど、 最後まで、あきらめるものか。 ここで、あきらめたら、それこそ、私の女がすたる。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

639人が本棚に入れています
本棚に追加