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――このっ!
抑え込まれていた右手をどうにか引き抜き、力任せに相手めがけて振りきった。
バシン――
「っ……!?」
上がる、胸のすくような打撃音と、小さなうめき声。
視界がぼやけているから、確認はできないけど、たぶん、横っツラに当たったはず。
手のひらに、何かを叩く感触と、
ほぼ同時に、金属が引っかかったような感触があった。
もしかしたら、メガネも、はじき飛ばしたかもしれない。
「ちっ……」
低い舌打ちとともに、身体の拘束が、わずかに緩んだ。
この瞬間を、見逃さない。
両腕に全霊の力を込めて、押し退ける。
広がった空間を更に広げようと、膝をバタバタど蹴り上げたその瞬間、
「うっ……」
っと、いう、うめき声とともに、敵の動きが止まった。
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