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――やった!
これで、逃げられる!
と、喜び勇んでメガネをかけたのも、つかの間、
目の前には、仁王様のごとく、全身から怒りのオーラをほとばしらせ、文字通り仁王立ちしている、敵の姿。
その左頬には、くっきりと私の付けた、赤い手形が浮かび上がっている。
「大人しい顔をして、とんだジャジャ馬だな」
――完璧に、怒らせた。
さっきまで浮かべていた、余裕の笑みが消えて、むき出しの怒気が向けられてくる。
さすがに、怖い。
じりっ、じりっと、思わず後退った。
玄関まで、猛ダッシュしても、悲しいかなコンパスの差が大きいから、かなり分が悪い。
でも、それ以外に、選択肢は見つからない。
賭けてみるしかない。
行けっ!
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