24 計略-3

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自分では、かなりの、好ダッシュだったと思う。 でもおそらく、現実には、逃走時間は、数秒ほど。 後ろから伸びてきた腕に、あっさりと捕獲され、 痛い思いをしただけで、状況は、振り出しへ戻ってしまった。 場所に至っては、ソファーから、数歩も離れていない。 ――運動神経、なさすぎだろう、私。 かなり、へこみながらも、気力を奮い立たせ、 『逃さないぞ』、という気持ち満々にしっかり腰に回された右腕を、両手で外しにかかる。 「ったく、手間をかけさせてくれる」 敵は、唸るように吐き捨てた後、 空いた左手で、自分の胸ポケットをまさぐると、小さな白いカプセル状のものを取り出し、口に含み、 テーブルの上に、手を伸ばしたかと思ったら、ワインボトルをひっつかんでラッパ飲みしはじめた。
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