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――何? ヤケ酒?
あまりの奇行に、思わず動きが止まった。
次の瞬間、あごを掴まれて強引に上向かせられる。
「なに……っ……んん!?」
抗議の言葉は、私の唇から飛び出す寸前に、敵のそれで塞がれてしまった。
口腔から喉へ、更に食道へ。
意思に反して強引に、かつ大量に流し込まれるワインに、激しくむせかえる。
口からあふれ出したワインが、喉を伝い、胸元を濡らしていく。
口腔を満たすワインの中に、明らかに異質な、硬い小さな固形の感触が交じり、ぎょっと目を見開いた。
――さっきの、カプセルだ!
どう見ても、怪しげな薬が入っていそうな、白いカプセル。
あれは、自分が飲むためじゃなく、私に飲ませるため?
ぞぞっと、
背筋に、戦慄が走る。
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