降らない雨

11/16
前へ
/23ページ
次へ
向かい合う形で横になり、互いの目を見つめる。 瞳の奥に見える確かな熱に、無機質なレンズは邪魔で、俺は躊躇なくそれを取り去った。 そこで見えた彼の瞳はやはり大きく茶色くて、本物のアーモンドみたいだと頭の片隅でこっそり思った時。 その瞳にゆらり、膜がはった。 それはどんどん厚くなって、涙としてその頬を濡らした。 「ふっ、ん、......くっふ、っ」 こちらが驚くひまもなく次々と溢れてくるその涙は、頬を伝いこめかみを流れて、俺の手の甲へと落ちた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加