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「あ、いや......。」
いきなりの問いかけに、言葉が詰まる。
こんな時、いつも明確な意味をもたない言葉しか発せられない己の口を心底恨めしく思いながら、彼を見つめる。
すると、やはりと言うべきか。
俺がこういう反応を返してしまった時、決まってこの恋人は、
「へへーん、奏くんって僕の眼鏡スタイル好きだもんね。そんなに見つめちゃうほど、可愛いかった?」
そう自信家な言葉を発し、心底楽しいというようにその唇をニヤリと歪ませるのだ。
そして彼が聞く問いに、
あぁ、可愛かった、と。
反射的に口走りそうになる口元を慌てて閉じ、無言を返す。
そんな恥ずかしいこと言えるはずがない。
目で語ってみるも、それは失敗に終わった。
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