アイドル

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『桃の妖精、とうかちゃんだよー!!今日もみんなにフレッシュな1日をお届けしちゃうよ~しゃららん☆』 テレビのど真ん中にでかでかと映し出される、「ウザイ」ほどに痛いアイドル、とうかちゃんを見た私に吐き気が襲う。 「やっぱおかしいのよ!」 とうかちゃんの"実態"である私、白井桃花は思わず叫ぶ。 「だいたいなんで私はアイドル活動を?」 もう、今更なにを言っているんだ、という意見がごもっともなのであるが。 アイドルとしての芸能活動を始めたのは、3年も前のこと。 でも、こんなにも気持ち悪い痛々しいキャラには未だに慣れない。 芸能界に入ったのは5年前。 当時の目的は、ファッション誌の読者モデルだった。 思い出せないのは、こんな世界に、芸能界に入り込んでしまった理由。 なんでこんな世界に入り込んでしまったのだろう。 学校にいく時間も、友達も、家族に会う時間も、そして通常の、みんなと同じだった日常も、全部全部。この世界に吸われてしまった。 私の手元に戻ってきたのは、仕事と、お金と、異端で例外な日常と、孤独感。 こんなにもマイナスの多い環境。何をしたくてここにいるのだろうか。 今日は久しぶりのオフだというのにまた仕事のことでウダウダしてしまう。 「あー、もー・・・」 正直アイドルなんて性に合わないのに 「ちょっと、桃花。休日なのに何を落ち込んで・・・あぁ。」 私がバタバタとし始めるころに現れたのは私の双子の姉の美月だった。
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