アイドル

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テレビに映る私を見て姉は呆れた。 「桃花、あのね。気持ちはわかるけど。何度見てもその反応よね?いい加減に慣れなさい。」 「でもひどいでしょこのキャラ。気持ち悪いわ。」 「番組視聴者及びあなたのファンからしたらこのキャラ崩壊っぷりのほうがよっぽど気持ち悪いわよ?」 それはー…。思わず共感せざるを得ない意見。でも 「私はクール&ビューティなモデルとして芸能界に入ったのよ?!」 と反論を試みる。 美月は呆れながら 「ふわふわにパーマをかけて、ピンクに染めた髪をツインテールにまとめて、フリルとリボンしかないんじゃないかってほどのふわっふわでぶりっぶりなワンピースを着て、『桃の妖精』とか『しゃららん☆』とか言っちゃってるあたりかなりのこと手遅れなんじゃないかしら?」 「うっ」 完全な論破を食らった。 「ま、あきらめなさい」 憐みを含んだ目を向けられる。 そこまで来て、完全に返す言葉もなくぼんやりしていた。 ぼんやり重大なことに気が付く。 「今度の番組のために明日までにホームビデオを撮らなきゃいけないんだった」 それを聞いた美月が啜っていたコーヒーでむせる。 「あんたそれ、今のままじゃキャラ崩壊収録になるわよ?!今すぐあんたのあの独房みたいな部屋、なんとかしなさい!!!」 私ではなく美月が焦る。 そう。私の部屋は何の飾りもない無機質な空間。 ベッドと机、1つのタンス以外には何もない。本格的な独房空間になってしまっているのだ。 威張れる話ではない。 流石に『しゃららん☆』とか言っちゃってるあたりあの部屋は見られたらまずい。 おそらくもう仕事が来なくなるレベルであろう。 それは姉のヒモ状態になってしまうので非常にまずいし申し訳ない。 「やりたくない」 「これについてはどうしようもないでしょ。早くやってきなさい?」 背中にかけられた言葉に返す言葉もなく、渋々独房へと向かうのだった。
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