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∞∞∞
撮影も終わり、晴れやかな気分で散歩に出る。
最近、人通りの少ない場所を見つけた。
ここなら絶対見つかることはないだろうし、なにより景色が綺麗で素敵。
私の中では、今一番のブームスポットだ。
一面シロツメクサで敷き詰められただけの空間なのだが、空気もおいしいし、今日なんか特に空も澄み渡っている。
春なのに、秋の空のようだ。
シロツメクサ畑を見渡すと不思議なものが私の視界に入ってきた。
森だ。
昨日来たときも、一昨日来たときも、辺り一面シロツメクサと澄んだ空、それだけだったはずなのに。
好奇心が芽生えた。
「あの森…入ってみたい。」
そう思ったら止める人がいても入っちゃうのが人間の性ってものだと思う。
森の中に入った途端、私は息を呑んだ。
「うわぁ…すごく綺麗。こんな場所、初めて!」
木々の間を飛び交う小鳥たち、地面に這う苔と草花。
「東京にこんな場所があったなんて」
大都会と呼ばれる東京。こんな大自然を誰が想像しただろうか?
「ちょっとゆっくりしていこう」
そう思い、私はそこで散歩を再開することに決めた。
「はぁ~気持ちいいなここ」
大自然なんて幼い頃から無縁だった。
田舎の方から上京してきた人の話も羨ましかった。
少し遠くにあるコンビニ、こぢんまりとした商店街、穏やかな田園風景…。
そんな光景はテレビでしか見たことがなくて、初めてシロツメクサ畑を見つけた時は感動した。
テレビ、ねぇ。
現状として私はその気がなくても憧れのテレビの向こう側に立っている。立たされている。
こうしてふつうに外に出ることも困難で、とてもふつうの生活なんて送れない。
もうそんなこと考えても遅いわけで。
物思いにふけているとき、一本の大木にプラカードのようなものが垂れ下がっているのが目についた。
…あれは何?
近づいてみるとメッセージが書かれていることが確認できた。
内容はたった一言。
「『ご招待』?」
読み上げた瞬間、目の前が眩しく光る。
私はどこに招待されているの――――?
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