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「あと、1分だけ。」
と耳元で囁く声。
その温かい吐息が耳にかかって、ビクッとしてしまった。
それが恥ずかしくて、徐々に顔に熱が集まる。
それに、佑斗君の髪が、首筋や頬にかすめてくすぐったい。
ぎゅっと目を閉じて耐えていると、急に解放感に包まれた。
「っ!」
「調子のんな。」
「~~っ!!!」
俺はいつの間にかリュウの腕の中にいて。
俺の後ろには、声にならない声をあげてうずくまる佑斗君がいて…
両手で頭を押さえている。
リュウの右手の拳は、少し赤い。
(うわ… 絶対痛いだろうな…)
助かったけど、少し可哀相に思える。
大丈夫かなと声をかけようとしたけど、リュウに睨まれたので、やめました。
「っ暴力反対ッッ!」
「お前が悪い。」
「ハルちゃんを困らせた罰だねっ!」
「…ベタつき過ぎ。」
「…………。先輩、嫌でした…?」
しょんぼりした顔で俺に尋ねる。
そんな、子犬のような目で見ないで!
その目に弱い俺。
「ぁの、嫌っていうか、びっくりするし、恥ずかしいし、出来たらやめ…」
「良かった。」
やめてほしいな…と言う言葉は、見事に遮られてしまった。
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