佐藤 凪 サイド

4/4
93人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
顔を見たくて、目を開けると 閉じたままの日高さんの目から流れ出る涙の筋が見えた 『せんぱい……俺だ……け、見て……』 「ん、……そうするっ……、好き?」 『うん。好きすぎる……。チュウも、気持ちい……』 愛しくて堪らない 舌を伸ばし、舌を探る 捕まえて、深くなる 抱き合う腕の力が、苦しくて その苦しさが嬉しかった 服を着たまま、合わせたように緩く動く互いの腰が滑稽だった 日高さんは自らスーツを脱ぎ、壁に投げつけ肌着姿になると、また抱き合いキスをした 呑み込まれそうな深いキス…… やがて……日高さんは眠りに堕ちた 俺は、また、胸に顔を埋める 徐々に落ち着きだす心音を聞いていると、肩の力が抜け落ち、この腕の中で融けだしてしまいそうだった 噎せるほど太陽の臭いを吸い込んだ 「正流……あったかいね………」 俺より少し速いテンポを刻む心音が心地いい…… ━━━やがて……俺も眠りに堕ちた おわり
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!