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顔を見たくて、目を開けると
閉じたままの日高さんの目から流れ出る涙の筋が見えた
『せんぱい……俺だ……け、見て……』
「ん、……そうするっ……、好き?」
『うん。好きすぎる……。チュウも、気持ちい……』
愛しくて堪らない
舌を伸ばし、舌を探る
捕まえて、深くなる
抱き合う腕の力が、苦しくて
その苦しさが嬉しかった
服を着たまま、合わせたように緩く動く互いの腰が滑稽だった
日高さんは自らスーツを脱ぎ、壁に投げつけ肌着姿になると、また抱き合いキスをした
呑み込まれそうな深いキス……
やがて……日高さんは眠りに堕ちた
俺は、また、胸に顔を埋める
徐々に落ち着きだす心音を聞いていると、肩の力が抜け落ち、この腕の中で融けだしてしまいそうだった
噎せるほど太陽の臭いを吸い込んだ
「正流……あったかいね………」
俺より少し速いテンポを刻む心音が心地いい……
━━━やがて……俺も眠りに堕ちた
おわり
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