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『凪せんぱい……』
俺の夢でも見てくれてるのだろうか
幾度となく名前を呼ばれ、俺はその夢に入りたくなってきた
「ここにいるよ……」
『せんぱぃ……良かった……嫌われたかと思っ…………』
途切れた言葉は頬擦りに替わった
仔猫でもあやすように、優しく俺の頭に頬を擦り寄せる
「大好きだよ……昔から、今でもずっと」
『凪……大切な、凪……俺の凪……』
その言葉が友情なのか、愛情なのか確かめたい
「キスしたい?」
『うん』
「して……」
乾いた唇が額に触れた
弧をかくように、ゆっくりと、探るように焦らしながら俺の唇を目指しておりてくる
目は閉じたまま、唇を開けてその時を待った
唇が触れた
熱い吐息が交ざる
顔を左右に動かして、そこにある唇を確かめている
徐々に息は荒くなるが、それ以上深くなることはなかった初めての口づけ
優しい、穏やかなキス……
ふたりだけの空間………
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