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佐藤 凪 サイド
タクシーの運転手さんのイラついた声で目が覚めた
「お客さん。着きましたよ。どっちか起きてください!」
横を見ると日高さんが寝てる……
日高さんのアパートはチェック済みだけど、どうしたものか
タクシーの運転手さんに嫌嫌手伝ってもらって部屋に運び入れ、ベッドにおろした。
今日は久しぶりに飲みすぎた。
普段はウーロン茶で回りを誤魔化してきた。
でも、今夜は近くに日高さんがいると思うと、嬉しくて……飲みすぎた。
もう、すっかり大人になって……
学生時代が懐かしい
━━━━━
いきなり俺の後ろから腕を回し
『はい。ちーず』
太陽の臭いが印象的だった
日高正流。俺よりひとつ下の後輩
同じ部活に、同じメーカーのスニーカー
登下校時に見ない日はない
何かと俺の回りを彷徨くウザいヤツ
それなのに……
あの太陽の臭いが忘れられない
いつしか、俺の方がこいつを目で追っていた
嬉しそうにガラケー画像を友達に見せて、バカにされていた
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