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俺達が住むこの町、楔町にはいつの時代からか、不可解な伝説があるんだ
メジャーなんじゃなくて、本当にこの町オリジナルのやつ
…小夜姫(サヨヒメ)って、知ってるか?
俺?
俺もその人の詳しい情報は知らない
ただ、姫ってつくのは少なくともこの時代の人間じゃないのは確かだし、もう死んでるよな
その小夜姫って奴が何者かって話なんだけれど…
この土地の昔の伝統の生け贄になった可哀想なお姫様ってこと
ほら、よく昔は人身御供とかあっただろ?
…そうそう、自然災害や飢饉の時に神様に許しを乞うためのお供え物として選ばれた人間が殺される儀式
大抵は、その地の嫌われ者や犯罪者が選ばれる
それか、孤児みたいな天涯孤独孤立無援みたいな奴
だって、自分の友人や恋人が選ばれたら誰だってやだろ?
小夜姫は、生まれついた時から独りぼっちだった
しかも、神主という立場もあったから、人身御供には持ってこいだったんだろうな
きっと、こんなに不幸が続くのは神の遣いの貴様が悪いのだ、的な感じ
だから、運悪く白羽の矢が立っちゃったってわけね
人々の視線にさらされながら、よく化粧が施された小夜姫は生き埋めにされた
しかし、ここら辺から不可解な事が起こり出すんだ
疫病が流行ったり、飢饉が起こったりして、人口が減った
直ぐ様、人々は小夜姫の呪いだと思った
…だから、社を建て、小夜姫を祀り上げた
ってわけね!!」
急に雰囲気を変えて、いや、元に戻した秀也が笑って言った
「どだった!?」
「「…」」
和希と瑠璃は唖然としていた
アホ面ウケる
「むっ…優はどうだった?」
無視されたことが勘に障ったのか、俺の方を向く秀也
どうだったって聞かれても…
「よく分かんないんだけど」
「えー…」
秀也が落胆する
分かりやすすぎだな
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