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十分位歩いたか 視界が開けて、ちょっとした広場?みたいなところに出た 取り合えず、お荷物を地面に下ろす 「んぎゃっ!? いってぇ…もうちょっと優しく下ろしてくれよ!!」 「黙れお荷物」 「……」 お荷物だと認めたか 「今何時だ?」 和希が結構重要な質問をした 時計を見ると、一時五十六分になっていた 「良かったぁ、ギリギリセーフ」 息を切らした瑠璃がガッツポーズをとった 「こうしてる場合じゃねえ!! 皆、あの祠の前に立つんだ!!」 秀也が慌てふためいた調子で言うものだから、何となく此方まで無駄な焦燥感に駆られて祠の前に並んだ そして、二時になった 「「「……」」」 「何もおこんねえな」 何も無いので、その場を動いて祠を見てみた 手に持っている懐中時計で祠を照らす パッと見、あまり大きなものではない まぁ、こんなところに有るんだから、大きすぎても問題だな 祠の中は別段変わった様子もない ………。 「…っ!?」 今、急に誰もいないはずの祠の中から視線を感じた 思わず後ずさって、挙げ句懐中時計を地面に落としてしまった 「優?どうした?」 物音に反応した秀也が来た 和希と瑠璃は気付かなかったようで、二人で周囲の散策をしている 「何でもない」 「何か見付けたか?」 「いや…」 懐中時計を拾い上げて、もう一度中を照らす 「…なんだあれ?」 秀也が何かに気付いて、指差した 「…札、か?」 そこには、何やら札のようなものが祀ってあった しかし、何やらどこかおかしいところがあるみたいだ 「模様…変じゃね?」 そう、模様がおかしいのだ 普通、札といったらもっと字やら変なマークやらが書いてあるだろうに あろうことか、一つ目玉が書いてある まさか…こんな絵に怖じ気づいたってことか… うわ、やだ 「キモいなー…これ、小夜姫用の魔除けだったりして」 「魔除けってほど、人間の味方感ないから、多分違う」 これは、憶測に過ぎないのだが… 普通だったらとても信じられないような…仮説 いや、信じたくは無いんだが… 「この札そのものが…小夜姫なんじゃないか?」
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