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「あ、食事中にゴメンね」
誰もいないと思って入ったから、不意打ちにヨシがいて驚いた。
「なに、またプンプン怒ってんの?」
ヨシが美味しそうな匂いを漂わせてるお弁当を食べながら急に入ってきた私を見上げた。
しょうが焼き……。おいしそ。
「リューマにイタズラされて……」
「ミユキ、生理中なの?」
ヨシが遠慮なく訊いてきた。
「な、なんで分かるの?」
ギョッとしてるとヨシはフッと小さく笑った。
「来た時から機嫌悪そうだったし、体調も悪そうだったから」
ヨシって洞察力がスゴイ……。
「ダルいんじゃないの? 座れば?」
ヨシに顎で椅子に座るように促された。
私は黙って、ヨシと対面するように椅子に腰かけた。
「リューマもいい年こいてイタズラしてんのもどーかと思うけど、ミユキもまともに受けすぎなんじゃん?」
リューマは彫り深い目元でチラッと私を伺いながら美味しそうなしょうが焼きを口に運んでいる。
私はボーっとその口元を眺めていた。
「来て早々、リューマと相川がイチャついてたから、焼きもち妬いて、機嫌悪いんだろ?」
全くの仰る通りで、言葉が出てこない。
「ミユキはリューマの奥さんなんだからドーンと構えてりゃいいじゃん。
……?……なに、しょうが焼き食いたい?」
食い入るように、しょうが焼きを食べるヨシの口元を見てたら、ヨシが食いちぎって小さくなったしょうが焼きを私の口元に突きつけた。
つい、無意識に食べたい本能のままにパクっと口に入れてしまった。
「……おいし」
食べてしまってからキョロキョロして誰にも見られていないのを確認してしまう。
私はリューマみたいに面前でやってる訳じゃないもんね!
つい心の中で言い訳をしてしまった。
「私、リューマの奥さんでもさ、リューマってあんな感じだから気が気じゃないの。
だって、あんな美人な相川さんにあんな風にされたら、男の人ってドキドキするでしょ? 唇を指でなぞられちゃってさ!」
その二人のシーンが脳裏に浮かんできたら
途端にまたジェラシーがくすぶり始めた。
リューマの照れたような顔。
あれは絶対相川さんにドキドキしてるような顔だった!
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