第1章

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「小さい事でヤキモチ妬くんだな? オレの時なんて全然そんなの見せなかったのに」 ヨシはお弁当を平らげると、爪楊枝を歯に挟んだ。 「くだらないヤキモチだって分かってるよ? だから慣れるように努力はしているつもり。」 「相川から仕掛けてるなら、リューマも不可抗力なんだし」 「……分かってる」 ショボンとしてしまった私にヨシが言った。 「来週の火曜日に相川とオレとミユキとリューマでパワースポットを回る日帰り旅行に行くんだって。聞いた?」 「うん」 乗り気じゃないけど、行く事になってしまった。 「なんでこのメンバーなの? ヨシは相川さんとデキてるの?」 リューマと相川さんを一緒にして行く旅行なんて行きたくない。 「デキてるような仲じゃねーよ」 爪楊枝をくわえたままボソリと言った。 デキてたら、リューマにあんなにあからさまにアプローチしないか……。 「相川だけが、楽しそうに計画してるんだよな。」 リューマと一緒にいたいからなんじゃないの……。 急に仕事が入ったっていって、行くの辞めようかな……。 思い巡らしながら、スマホを鞄から取り出して、スケジュールを確認してみた。 来週火曜日はリューマの仕事も入っていなかった。 リューマにはまだ旅行の事言ってないけど、きっともう相川さんから聞いてるよね。 「温泉にも入るっていうし、オレはそこだけに食いついたけど」 「温泉……」 リューマ、温泉好きだから喜びそう。 「二人がイチャついて嫌なら、オレとイチャついて紛らわす?」 本気とも冗談とも取れる言い方をしたヨシは、全く私の気持ちの解決にならない提案 をした。
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