第1章

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「まさか、ミユキとリューマがこんなにあっさり結婚するとは思わなかったな、さすがに」 ヨシは何か思いふけたように遠い目をすると、すぐに私を見てうっすら笑った。 「リューマなんて、結婚なんていう発想も思い付きそうにないのに」 「うん、私も結構驚いた。」 初エッチの時にリューマにプロポーズされたから。 『オレの一生の専属になって』って。 初め、意味を理解するのにすごく時間かかった。 ……でも、今思えば、リューマとは結婚するべきして結ばれたような気がする。 お互い説明がつかないほど、惹かれ合ったんだ。 なんだか、すでに用意されていた者同士みたいに……。 ふと、赤い糸伝説の話しを思い出した。 私とリューマはきっと赤い糸で結ばれていた相手だったんじゃないかって、信じていたりする……。 縁結びの神様がいる神社にリューマとお参りに行ったら、 運命の相手はリューマなんじゃないかって 雪が舞う中でリューマと抱き締め合った時に直感した。 「ミユキさーん、指名のお客様がお見えになりましたー」 リューマが顔だけ覗かせて、私をバックルームまで呼びに来た。 私とヨシの顔を交互に見ながら、ニヤリとしながら告げた。 「スケベな昔話でもしてた?」 「はっ?」 「それか、オレの悪口?」 「してないし」 「だって、ミユキずっと機嫌悪いから」 「リューマが変なイタズラして私をからかうからだよ!」 私は体を起こして立ち上がった。 「そんなに真に受けて怒ると思わなかったんだよ」 フーッと息を吐き出しながら、困った顔して笑った。 私は押さえきれない苛々をおもむろに顔に出しながら、リューマとは視線を合わせないで、横を通り抜けた。 「あ、リューマ、あと1時間くらいしたら、宣伝CM広告の人が撮影に来るからよろしく」 私は、リューマのスケジュールを思い出して、横を通り過ぎてから振り返って言った。 「はーい、マネージャー」 リューマは気が抜けたような返事を返して、私の座っていた椅子に腰かけた。
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