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煩悩のままに生きるのが、人間だろ。
……あ、でも、そういやオレも最近ずっとヤってないな。
相川に誘われた時は、まだ、ミユキを失った痛手でその気になれなかったんだ。
ミユキは普段 強がって思い通りにならないヤツで
でも、
抱かれてる時は従順で
頬を紅く染めて、見つめてくる顔が
愛しくて堪らなかった。
オレはミユキを愛していたんだ。
それなのに
……なんで、コイツがミユキの運命の相手なんだ?
「運命の相手ってゆーけど、そう言って離婚しているヤツたくさんいるじゃん」
「……だね」
リューマはアクビをしながら、適当な相槌を打つ。
この話題には飽きてしまったようだ。
「だから、間違いもあるから 何かを捨ててみて、断てば、自分に必要なモノが得られるんだよ。
よく、願かけに何か嗜好を辞めると叶うってゆーじゃん?」
「そーなの?」
リューマはアクビして流れそうな涙を手の甲で拭った。
「だったらオレはミユキとリューマが離婚するように願かけしようかな」
オレが笑いを含んだ声でそう言うと、リューマは眠そうだった目を見開いた。
「そうゆう意地悪言わないでよ」
「自分の幸せを優先するなら、人の事なんてどうだっていいだろ。
そもそも、オレの幸せを奪ったのはリューマなんだし」
うっすら笑いながら、からかい半分でリューマに言葉を投げると、リューマは口を尖らせた。
「ミユキはオレを求めてたんだから、しゃーないでしょ。」
そして身を乗り出す。
「ヨシはヨシでいい人がいるさ! ミユキに手出さないでよ」
リューマの綺麗な顔がぐいっと近づいて、オレに釘を打つように、鋭い眼差しを向けてきた。
先に手出したのはリューマなのにな。
「心配しなくても、ミユキはアンタ以外に眼中ないから」
「そうでないと困る」
フッと勝ち誇って笑うリューマが憎らしい。
コイツはきっと手に入らないモノなんてないんだろうな。
「ただ、いつ気が変わるか知んないよ?ミユキだって、一度はオレと寝てるし、ミユキの弱い所熟知してる。」
勝ち誇っているリューマに、一撃。
リューマは渋い顔してしかめて見せた。
ミユキの心中も表情見てれば手に取るように分かる。
今のミユキはリューマに不満だらけだ。
リューマがじゃれてるだけだと主張していても
片方に不満があれば、関係も崩れていくのは早い。
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