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「せいぜいミユキに愛想つかされないようにね。 相川とイチャついてばっかいないでさ」
オレは良心で忠告したつもりだったけど、
リューマは露骨に嫌な顔をして見せた。
「イチャついてないし。」
相川は不倫宣言してたからなー。
協力するつもりはないけど
この際落とされてしまえば面白いな。
運命の相手とか
ロマンチックな事言ってるけど
そんなの
ただの勘違いなんだからさ。
「だいたい、そんな事くらいでグラつくようなオレらじゃないの」
フフンと余裕をぶちかましてるリューマ。
ミユキの気持ち、全然気付いてないんだな。
やっぱし
壊してみたくなる。
そんなに何でも思い通りにいくわけないんだよ。
「リューマさんー、広告企画部の方たちがいらっしゃいましたよー」
「うぃーす」
平野が呼びに来て、リューマは腰を上げる。
「店長も指名のお客様お見えになりました」
「……セット面にご案内しておいて」
「はい」
オレは空になったお弁当をゴミ箱に投げ入れて
リューマと共にバックルームを出た。
入り口付近に企画部の吉川さんと、カメラマンや照明など、撮影スタッフが立っている。
リューマは彼らに近づいて頭を下げて挨拶をしている。
リューマがここの広告塔になってからというもの、
会社は宣伝広告にだいぶ力を入れるようになった。
電車の中の広告や、ファッション雑誌など、リューマを掲載するだけで、
反響は凄いらしい。
テレビに一切出なくなった事が、逆に広告では価値を上げているらしくて
実際、このサロンで撮影やPR活動を始めてから
リューマ見たさにか、予約は倍以上に増えて、
売り上げは傾く事がなくなり、
最高売り上げをキープし続けている。
そしてGrossly全店舗でも同様に、売り上げが伸び続けていた。
リューマの影響力の強さは、
膨大な宣伝費を投入しても、経済効果はバツグンなんだろう。
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