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「俳優業までやってしまうとさ、生活をガラリと変えなくちゃいけないから」
リューマは食べ終えた皿をシンクに運びながら、コーヒーカップに残ったコーヒーを一気に飲み干した。
「不規則な生活になるし、台詞覚えたり、役にのめり込むから、結婚して家庭を持ったら、辞めてもいいって思ってたんだ。」
リューマは、皿を洗い始める。
「演技するのが好きなのに……?」
リューマはちゃんと、自覚してたんだ……。
ゴメン、既婚者の自覚ゼロなんて
思ってしまって。
ドギマギしてリューマを見つめる。
「演技が好き?
オレは演技が好きなワケじゃない。
あくまでも与えられた仕事だから、精一杯やっていただけ。
オレを拾ってくれた今は亡き恩師が、
どんな小さい仕事でも与えられた仕事をやりこなせば、信頼に繋がって、自分が活かされるって教えてくれたから
それがオレの人生の教訓になってんの。
その恩師に出会わなければ、オレは人生を棒にふっていた。」
リューマはサッと洗い物済ませると、言葉を続けた。
「だから、仕事は選ばない。
何でもオレはイヤじゃない。
だからマネージャーのミユキが持ってきた仕事を精一杯するだけだよ。」
リューマは二ッと笑って、着替えを済ませるために寝室に入って行った。
仕事をそうゆう価値観でやりこなせるリューマって
尊敬しちゃう。
元々俳優志望なワケじゃなかったんだ。
ただ、モデルの仕事から、役のオファーがきて、俳優になったんだ。
仕事は選ばないで何でもやりこなす。
そうゆうスタンスがリューマに出世運を呼び込んだのかもしれない。
実力が伴っていくのは、リューマの長けた分析力。
俳優なら徹底した役作り。
モデルなら皆が袖を通したくなるような
着こなし方、魅せ方の工夫。
自分の魅力を最大限に発揮して、稀な綺麗なルックスと完璧なスタイルを、持て余す事なく前に押し出してしまうリューマ。
リューマを見飽きるなんて事は
この先あるわけなくて
私はきっと、魅力溢れる美しい夫に毎日見とれて、
妻でいられる事に
幸せを噛みしめてやまないんだと思う。
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