第1章

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ミユキと出会う前に、 オレはマネージャーだった結菜に恋をした。 でも、それはオレのただの錯覚を起こした恋だった。 オレが初恋とも言える女性と結菜がどことなく似ていたから 惹かれたんだけど、彼女には婚約者がいてーーー。 初恋の女性は、歌舞伎町でホストしていたオレをモデルの道にスカウトしてくれた恩師の彼女であり、婚約者だった。 今まで、真剣に女性を愛した事がなかったオレに、初めて愛しいと思った女性に出会って、彼女を長年想ったけど、 オレに気を向けてくれる事はなくて。 ……そりゃ もちろん、相手がいたからなんだけど。 オレは本当の恋を知ってから、 また次愛せる人が現れるまで 一切オンナを抱かなくなった。 愛する人に愛されるまで セックスは封印した。 結菜に、恋をしたけど、 結菜にも、婚約者がいた。 婚約者がいるのに、 結菜はオレに抱かれた。 愛してるって言われるまで、抱かないつもりだったけど、 婚約者が浮気しているのが発覚して 寂し紛れにオレに身を委ねた。 オレに最後まで゛愛してる゛とは言わなかった結菜。 でも、オレは快楽に溺れる結菜を、 昔のオンナを抱くみたいに抱いたんだ。 ……冷めた心で。 オレを愛してくれるオンナっているの? どうでもいいオンナには言い寄られるのに、好きになったオンナには彼氏や婚約者がいる。 欲しい心が手に入らなくて 体だけ抱いても何も意味を成さない。 オレを想ってくれる、愛しいオンナ。 そんな女性が、いるなら出逢わせてほしい。 それからオレはまたセックスを封印した。 ーーーーそして、 オレの専属ヘアメイクになりたいと、 オレの元にやってきたのが、 ミユキだった。 他のオンナとは違う、和みのオーラを持っていたミユキ。 ミユキを一目見て、 何故か懐かしい感覚を覚えて 愛しいという感情が自然に湧いた。 なんだろ。 この、ピュアな学生の恋に近いような、 胸がドキドキして、 抱き締めたくなる衝動は。 実際はオレの学生の頃なんて マセた野郎で 女子なんて、性の対象ぐらいにしか思って いなかった。 だから、性欲を絶ったその時のオレは年齢が逆転してしまったかのように 感性が敏感になっていた。
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