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ミユキが、オレの髪型を思い描いていた通りのスタイルに作り上げる。
オレの専属ヘアメイクになったミユキ。
オレにいつも触れるミユキの指先。
セットをしてくれているミユキを鏡越しにふと見ると
いつも、渾身込めて、真剣な表情でスタイル作りをしていた。
仕事に対するプライドもひしひしと伝わってきた。
たまに目が合うと
すぐに恥ずかしそうに頬をにわかに赤らめるミユキは可愛くてしょうがなかった。
『好きだよ』って告白して
抱き締めて
キスをした。
オレは10代に戻ったかのように
ミユキにときめいた。
ミユキ、
オレのところへ来てくれて
ありがとう。
オレからミユキを見つけ出す事は
きっと出来なかっただろうから。
潜在意識に隠れてるオレの前世の記憶。
江戸時代、一緒に育った商家の娘だった幼馴染みのミユキを好きになった。
けど、
オレは女中の息子でミユキは異母兄妹だった。
ミユキの家は商家の女系相続の為に
親と同業組合がの決めた同格の商人の家の男と結婚をした。
血が繋がってるのに
愛し合ってしまったオレとミユキ。
夜這いがバレて、
離れ離れにされてしまったオレとミユキ。
許されざる 愛。
今世は、必ず身も心も結ばれたいと
潜在意識に刻まれた
前世の記憶の欠片。
結ばれている
見えない赤い糸。
必ずたぐり寄せて
愛し合おう。
そんな潜在意識に気づかないままに、
ミユキに出逢っても、
スムーズに結ばれる事はなくて
マネージャーだった結菜との関係が
オレの足かせになって
オレの芸能活動まで
脅かしてしまった。
そして、
結菜が自殺を図り、
息を引き取った時に
病院で鉢合わせしてしまった
結菜の夫。
結菜が息を引き取ったのを茫然と立ち尽くしながら
「俺のせいだ……」
と呟いていたのに、
オレの存在に気づいた途端に責任転嫁。
「だいたいオマエが俺の海外出張の間に結菜に手出して誘惑したのが、不幸の始まりだったんだ!」
よく言うよ。
自分が先に浮気しておいて。
結菜の心が病んでしまったのは
結菜と婚約しながら浮気したアンタに原因があるのに。
でも、オレは
最後、オレにすがってきた結菜を
拒んでしまった事が
最後のトドメだったんじゃないかって
考えたら
頭の中が真っ白になった。
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