第1章

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POPのデザインが決まり、キャッチコピーの案が練られたまま、私はリューマとGrosslyのヨシがいるN支店へと足を運ばせた。 私は指名のお客様の予約が何名か入っていて、その施術の間リューマはPR活動を店内でする事になっている。 リューマは企画部の仕事を担っているために限られた時間はPR活動を行っている。 けど、実際はただフロントにいるだけで リューマという存在だけをご来店されたお客様にアピールするという単純なお仕事。 その狙いは、綺麗なモノを見て美意識を持たせるという人の深層心理をつこうというやり方で 見とれてしまうほどの美しいリューマは、 人の美意識を高めるという作用を “無為にして化す“という、無言の影響力で 人の美に対する欲望を助長させる威力を持つ。 リューマはお客様の美意識に影響力を与えてプラスアルファの施術のオススメに一役買っていた。 「サロン行く前に、ベーカリーの差し入れ買っていこうか?」 いつもサービス精神旺盛のリューマが自分達のランチも兼ねて、お気に入りのベーカリーショップに寄る事を提案する。 駅前にある個人経営しているベーカリーショップは、テレビでも取り上げられる程口コミで評判が良かった。 そうゆう美味しいモノ大好きなグルメなリューマは、差し入れをする己の喜びもあっていち早く飛びつく。 差し入れするのを喜びとするところが、 八方美人のリューマらしい。 でもそんなリューマだから、人当たりはいつも良くて、リューマには皆の笑顔が向けられる。 「あ、リューマさん!」 カフェにもなっている店内に足を踏み入れるといつもレジにいるこの店の娘さんが 第一声に明るい声でリューマの名前を呼んだ。 いつもリューマを見て嬉しそうに頬を紅らめるので、リューマに気があるのは明らかだった。 「リョウコちゃん、こんにちは♪ 差し入れに持っていくんで、ボクの好物のシナモンロールとあとはオススメを適当に詰めてくれる?」 すぐに女の子を名前で呼ぶリューマは、確信犯に思えてしょうがない。 客として利用しているだけなのに、 この親しい呼び方は、違反でしょ! ……もう、気にしないようにするしかない。 言ってる本人は、私がそうゆう小さい事にヤキモチ妬いてるのに気づいてないんだから。
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