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5階建てのビルの2階にあるHair Make Grossly。
リューマとサロンの中に足を踏み込むと、相川さんがお客様の施術を終わらせて、お帰ししている最中だった。
「またお待ちしてますぅ。次回は是非ヘッドスパの施術も一緒に」
相川さんは満面の笑みを見せながら、お客様のジャケットをお渡して羽織わせていた。
「うん、また来月ね。
相川さん今度食事に一緒に行かない?
休み、火曜日だよね?仕事終わってからでもいいし」
相川さんはよくメンズのお客様に食事に誘われている。
なかなかの美意識高そうなイケメンのお客様だ。
「仕事終わったらスタッフのトレーニングがあるのでなかなか時間が作れないんですけどぉ、時間が合えば是非」
相川さんは甘ったるい声で応えている。
相川さんのセクシーな微笑みは男じゃない私でもドキドキしてしまうほど魅力的だ。
「じゃあ、また連絡するね」
メンズのお客様は手を軽く挙げてサロンを出て行こうとした時、リューマの存在に気付いた。
「わっ、ルイさんだ!
ホンモノにやっと会えた」
メンズのお客様は目をキラキラさせてルイを見る。
「うちのサロンに、ごひいきありがとうございます」
リューマは営業的スマイルで軽く会釈をした。
リューマはきっとメンズからも憧れの存在なんだろう。
メディアに一切出てないのにやっぱりリューマの知名度はまだ高い。
「ルイさん、やっぱ半端ないイケメンですね。テレビで観れなくなって、残念ですよ。噂でここによく来るって聞いて美容室変えたんです」
「それはそれはどうも嬉しい限りです。
ちなみに僕は今本名リューマで活動してますので」
ニコニコ微笑むルイは握手をせがまれていた。
リューマって本当に存在価値のある人だ。
メンズのお客様は意気揚々として帰っていくと、リューマは小さく溜め息を吐き出す。
「疲れんなー。作り笑いって」
「リューマはいつまでたっても芸能人扱いだね」
「オレってそんなに人に知られてたんだね。自覚なかったけどな」
「だから、人目も気にした方がいいって言ってるんだよ」
「悪い事してるワケじゃないし、いーじゃん別に?」
「どこで悪い噂たつか分からないし、イメージキャラクターをやってる以上は、見られてる意識持ってほしいの」
「……はーい。マネージャー」
リューマは私をチラ見して素直な返事をして見せた。
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