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玄関ホールを通り、自動ドアを２つ抜けて外へ出た。
すぐ目の前にある短い階段を、足元に視線を落としながら、カツ、カツ……とヒールの音を響かせてゆっくりと降りる。
次に抱いてもらえるのはいつになるだろう。
奥さんの次の夜勤の日を心待ちにし、部長の熱と感触を思い出しながら、まだ交わしていない約束の日を心待ちにした。
…――カツン。
と、降りた最後の段。
ふと、上げた目線。
「……」
何故すぐに逸らさなかったのかが悔やまれる。
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