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どうも慣れない上座の席。
両隣はまだ空席。
少し離れた席から聞こえる、同僚達のご機嫌な笑い声。
姿は見えないものの、時折聞こえる甘い声。
「……」
コートを脱ぎながら空いている隣の席に溜め息を落とし、やっぱり来なきゃよかった。と後悔した。
薄っぺらい座布団の上。正座した膝を隠しきれないスカートの裾に視線を落とし、手持ち無沙汰にそれをいじる。
「神崎さん質問っ。婚約者がいるってホントですかー?」
聞きたくもない質疑応答が耳に入ってきたのは、ちょうどその時。
「……」
無意識に、裾をいじる手をピタリと止めた。
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