第2話

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どうも慣れない上座の席。 両隣はまだ空席。 少し離れた席から聞こえる、同僚達のご機嫌な笑い声。 姿は見えないものの、時折聞こえる甘い声。 「……」 コートを脱ぎながら空いている隣の席に溜め息を落とし、やっぱり来なきゃよかった。と後悔した。 薄っぺらい座布団の上。正座した膝を隠しきれないスカートの裾に視線を落とし、手持ち無沙汰にそれをいじる。 「神崎さん質問っ。婚約者がいるってホントですかー?」 聞きたくもない質疑応答が耳に入ってきたのは、ちょうどその時。 「……」 無意識に、裾をいじる手をピタリと止めた。
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