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「正月休みにさぁ、一緒に旅行にでもいかないか?」
「え?」
七美が涙を拭う。
「ゆつきさんはどう?」
「あ、ぜひ」
「そっか。じゃあどこか近場でさぁ……」
「でもお父さん。今からでホテルがとれるかしら?」
七美の母が笑顔で口をはさんだ。
「そうだなぁ~。とりあえずある程度の場所を決めてさぁ、電話かけまくってみよう」
お父さんも微笑む。
まさか認めてもらえるなんて思っていなかったから、ワタシは本当に幸せ者だと思った。
「ねぇパパ、私どうせならハワイがいい」
涙を拭った七美が、一転笑顔で提案する。
「おいおい。それじゃあパスポートを取りに行かなきゃならないだろ。今回は近場でいいじゃないか」
「まぁ、しょうがない。お金を出してくれるんなら、文句は言わないよ」
「そりゃ、オマエらには金は出させないけど」
「やった。じゃあやっぱり海外が良い」
「アホか!」
「え~~~ケチ。ゆつちゃんも海外が良いよね?」
「ううん。私は近場の方が良いかな」
「ほらみろ。三対一で近場で決定だからな」
「え~~~。ゆつちゃんの裏切り者~~~」
七美は子供みたいに口を尖らせた。
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