農夫……それはかくも恐ろしい

13/13
15349人が本棚に入れています
本棚に追加
/708ページ
「これは確かに面倒だな」  『土地の状態をよくするにはどうしたらいいか』であるとか、『グロウを使っても種が育たないのはどうしてか』なんてのは、ある程度知識がないと合点がいかないことだ。いくら情報を集めればクリアできるといったって、こればっかりは難易度が高すぎるだろう。 「いや、本気で農夫を専門としてやるなら、これくらいは乗り越えてみろってことなのか」  だとしてもなあ。  現実に準拠して、難易度が作られているのかもしれないが、ほとんどのゲームの中では、あくまでも『農業』は遊ぶ上での補助、ないしは暇つぶしでしかないものだ。 「それがここまでとは……」  何の気なしにシートをかけてしまったが、試しに、シートを使わずに腐葉土を作ろうとしてみた。針葉樹の葉を集め、同じようにデコンポを使ったのである。  するとだ、できたはできたが状態も良くなく、先ほどよりもできるまでに時間がかかった。  腐葉土を作るには暗所が必要であるなどと、果たしてただの一般プレイヤーが知っているものか。ましてや針葉樹が腐葉土になりにくい、そもそも土地を改善するために腐葉土が必要であることすら、知らない者にとってはどうすることもできない。  おそらく走り回り、聞いて回って情報を集めれば同じ結論には辿り着くのだろうが、遊びとして『農業』をやろうという者が、そこまで本気でやる気になれるかどうか。 「なかなか、やってくれるじゃねえか」  自由度が高いとは聞いていたが、相当に作り込まれている。  ほんと阿呆みたいな作り込み具合だ。 「これでまだスタートラインですらないってんだから厄介極まる。普通のプレイヤーじゃ無理だ」  これじゃやる気もなくなるってもんだ。  農夫が地雷認定されるのも無理はない。  まあでも。 「僕ならできるけどね」  なにせ現実で本当に農業を始めようかと色々、それこそ一企業を興してしまおうかとすら考えた程度には、調べた経験がある。  どうせそれほど役に立たないだろうと思っていたのだが、どうにも話が変わってきたじゃないか。『あいつ』がやってみろと言った理由もよくわかった。  これならば、存分に楽しめそうだ。 「まずはこのカッスカスの土壌から直していこう!」  やってやるぜ!
/708ページ

最初のコメントを投稿しよう!