さあ野菜作りの時間だ

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 まず現状をおさらいしておこう。  国より与えられし我が土地。  大きさはテニスコート二枚分、およそ四アールといったところ。数値で正確に言うと、四百平方メートル。  小手調べで作るには丁度いいぐらいの大きさだ。  持ち物は、まず土壌改善要因にと持ってきた。  『腐葉土』。  『貝殻肥料』。  それと土壌を改善している間に内職する用にと用意した。  『圧搾機』。  『菜種』。  圧搾機は本当は三台であったが、一台は増産増強をするため、参考に鍛冶屋をしている護謨(ごむ)のところへ送ってある。よって現状では二台。  『菜種』からは『菜種油』を作ることができ、その時出た『油粕』は別途精製することで『液肥』という畑の肥料になる。  『貝殻肥料』もまた肥料ではあるが、あれだけでは圧倒的に栄養分が足りないのだ。本当は『液肥』の他にもまだまだ肥料を用意する必要があるのだが、とりあえずまずはこんなところで。  それと『農具』がいっぱい。  実は、王都にある専門店から農具を買ってくるのを忘れていたので、ここへ来る前に一旦、護謨への激励ついでに王都へ行っていって買い物をしてきていた。さっきは、白い目で見られまくって買い物に行く暇がなかったから……ね。  買い物が終わり、事前に教えられていた彼女の工房を覗いてきた。  するとだ、汗なのか涙なのか涎なのか鼻水なのかすらもわからぬ、汁という汁を流す護謨。良く言えば一心不乱、悪く言えば半狂乱。何回目になるかわからない同じ作業を何度となく繰り返す護謨の姿がそこにはあった。  お金はたんまり渡してあるので材料費に困ることはないだろう。レシピがあればすぐ完成したとのことだが、レシピがない場合は、参考から材料を導き出し、あとは正しい組み合わせが見つかるまでトライアンドエラー。ご苦労なことである。この分だと、すぐにも完成するかもしれないな。  一通りおさらい、と少しの報告をするとこんな感じである。  うむ。  こういうところでしっかり確認しておくことが、これからの予定を(作者が)建てるためにも大事なのだ。 「なんかいま、妖精さんの囁きが聞こえたような気がしたけど……気にしない!」  というわけで。  早速、野菜作りに向けて作業を始めるとしようか!
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