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出来ないことがないとまで謳われたゲーム。
現実の専門的な知識まで用いれるとなると、本当にどこまでできてしまうのか。
興味は尽きないが。
「運営側から何も?」
「ああ、特にこれといった情報は出てねえ」
だから毎日が手探り状態よ。
とカスは、不満げながらも楽しそうに。
またしてもである。
僕らは、何も与えられない。
イベントで後れを取ることを危惧していたが、そんな必要はなかったのだ。
キャンペーン、イベントの類いなど、初めから存在していない。
クエストこそあるもの、それだけ。
普通のMMORPGと言えば、隔週でイベントなどやって、プレイヤーの士気を高めたり、プレゼントなど豪勢にやって、楽しい気運の後押しをしたりするものだが。
それらがない。
となると。
「それだけゲームの中身に自信があるってことなのか……」
あるいは、何も情報を与えないことで、僕らが僕ら自身で、手探りで世界を探索しなければけなくなる。つまり状況を自分で切り開いてく楽しみを、現実感を増長させているのか。
どちらにせよ。
まさかここまで一切の情報が公開されていないとは思わなかった。
驚きだ。
それなら友好度云々も、推測しかできなくて当然である。
それらの情報は、今後公開されていくのか。
それとも、僕らだけで積み上げていくしないのか。
ううむ、さすがグフオ。
難しい難しいとは思っていたが、やってくれるぜ。
「それは分かった」
情報共有が、現段階で難題なのはよくわかった。
僕のこの交友関係が、彼らが把握しているそれと、大きく異なっているのだという事も、なんとなくわかった。
けれど。
「それが『武器になる』ってのはどういうことなんだ?」
カスは言った。
僕の交友関係は武器になると。
まあ確かに、これまでも十分、僕が農夫をしていく上では、強い援護射撃をしてくれてはいたけれど。
「NPCに話しかけられるどころか助けられる。これがお前の強みなのはわかったな。友好的な相手には、NPCもそれ相応の態度をとるのさ」
けどよ。
とカスは、やや不穏な雰囲気をして。
「プラスのベクトルに友好度があるってことはだ――――マイナスのベクトルにも、友好度が働くってことなんだわ」
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