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プラスに影響を及ぼすのなら、当然にマイナスにも。
友好度によって、ゲームプレイに支障が出ることがあるという。
「知らねえうちにNPCを無下にしてたプレイヤーがいたらしくてな。その影響なのか、商品売ってくれるお店の人の態度が悪くなったりとか、変な奴に絡まれるようになったりとか。中には、国の治安部隊に注意を受けたプレイヤーも居るらしい」
友好度。
それはすなわち、人々からの評価でもある。
良い人であるのか悪い人であるのか。
それが単純に、ゲーム内にも反映されていく。
「まあ、今のところ報告されてるのは些細なマイナスだけなんだけどよ。そのうち面白がって、意図的に悪事を働く奴らも出てくれるかもしれねえし。この変化が、今後どうなってくのか、まだわからねえ。今すぐにどうこうって話じゃねえんだが、場合によっちゃ何かあるかもしれねえ」
なるほどな。
この『友好度』ってやつは、想像以上にゲームプレイに左右され、ゲームをする上でのカギを握るステータスという事らしい。
「それで最初の話に戻るがよ」
剣呑な風であったカスは、そんな空気をがらりと変える。
組んでいた腕を開くと、ここが本題とでも言うように、前のめりになってテーブルの上で指を組み、僕をじっと見つめる。
最初の話。
僕の友好関係が武器になるとかならないとか。
「知る限り、最もNPCと友好的な関係を築いてるのは、カジ、お前じゃねえかと、俺は踏んでる」
そんなことを。
カスはさらりと言い放つ。
いやいや。
そんな馬鹿な。
確かに、彼らと仲良くはさせてもらっているけれど。
そこまでじゃあないだろ。
もっと他にも、仲良くさせてもらってるプレイヤーも居るって。
「……居るには居るんだ」
と、なにやら不服そうに。
NPCと友好な関係を築いているプレイヤー。
「そいつは、炎の料理人だ」
おおう。
最近よく会いますね。
「あいつは頭はカラだが、腕は一級品だ」
それを君が言うかね。
「だからNPCから腕を買われたみてえでな、王都のレストランで一目置かれる存在になっていやがるのさ」
まあその場面は、僕も見て知っている。
確かにそれをして見れば、かなり信頼されている風には思えた。
「でも頭が如何せんがゆえに、そこまでじゃねえのさ」
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