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それも……知っている。
口の軽さはイコール頭の軽さだ。
そして重圧にも弱いし。
あれかな、中が空洞だからかな。
腕は買われていても、性格に難がありまくりである。
「たまに失敗をやらかすとかで、店に損害も出てるらしくてな……」
それは……ご愁傷様としか言い様がない。
あれを見初めてしまった大姐の、仕方のない出費だな。
まあそれでも、十分な収益が見込めるからこそ、ああやって近くに置いて貰えているんだろうけれど。
「あいつは前々から、NPCと世間話をして、楽しくやってるなんてことを言っててな。その時分はまだ、当人も俺らもその事実の大きさに気付いてなかったんだが。この話が出てからちょいと気になってな、奴を雇ってるオーナーの大姐とやらに話を聞きに行ってみたんだ」
そういや、絢爛飯店にこいつが出入りしてたって話もあったか。
この話の調査をしていたのか。
「やっぱりお前と似たような状況だと思うね」
NPCの側から話をしてくるし。
彼女がバイト中も、ちょくちょく協力的な言動を見せたという。
「けど、お前ほどじゃねえ」
語気を強めて。
カスは再度、僕を推す。
僕の比類なき友好度の高さについて。
「聞いたぜ、お前あの大姐と交渉して、商売相手としての協力を取り付けたらしいじゃねえか」
耳が早い。
つい昨日の事だというのに。
「アレは……そんなタマじゃねえよ」
まあタマはねえけどな。
なんて冗句を交えつつカスは言う。
まったく、僕が女性なら引かれているところだ。
嫌いじゃないです。
「俺と会った時なんて、鬼みてえな形相で『儲からない話ならよそでやっとくれ』と来たもんだ。よっぽど信頼されてるでもなきゃあ、まともに話をすることすらできねえぜ、ありゃあよ」
まともに話をさせてもらえない。
そんな相手だったのか。
「そいつをお前はやってのけた。それどころか、あいつに協力までさせやがった。そんなことを楽にさせられるなんてえのは、桁違いの友好度がなきゃできる芸当じゃねえよ」
まあそう言われれば……。
そうなんだろうか。
とは言えだ。
「お前の事を全く知らない相手には、お得意の友好度も通用しなかったんだろ? ってことはだ、無条件にNPCが、須らく友好的になるって話でもねえんだろう。伝達条件を加味する必要がありそうだな」
まだ調査の必要がある。
とのことだ。
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