おはぎ友好作戦

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 ふうむ。  噂が伝播するように。  友好度もまた伝播するのか。  大姐は事前に僕の情報を得ていたから、友好的な態度を示した。  料さんを通して野菜をプレゼントしていたことも、少なからずプラスに働いたのかもしれない。まあしかし、その辺りの数値が、どのくらい上手く機能してくれたのかについては、具体的に調査のしようがない以上、当て推量でしかないが。  こうなってくると。  どうにも噂ってやつも、友好度と密接にリンクしているような気がするな。  直接会話したことのなかった大姐。  同じく黒服眼鏡。  やや敵意を感じる場面もあったが、それがニュートラルなのだとしたら、ああも協力的に付き合ってくれるなんてのは、友好に寄っていなければ起こり得ない。開店準備を協力して行ったり、交渉の余地を以てして協力的な取引ができたり。カスも言っていたが、入口から友好的だったからこそだ。  僕の事を知っているか否か。  そこが、僕の持っている友好度というやつが、どれほど力を発揮するかという線引きになるのかもしれない。 「まあまだ調べ足りないみたいだし、これだけじゃ判断できないけどね」  そもそも友好度が適用されないキャラがいるのかもしれないし。  数値の蓄積がどちらに依存するのかでも、趣は変わってくる。  NPCそれぞれが、プレイヤー個人への友好度を保有しているのか。  一括でプレイヤーが、NPCすべてに対する友好度を保有しているのか。  どちらにせよ。  NPCは、プレイヤーに対する印象を持つ。  それこそ。  現実のそれと同じように、である。  直接的にも信頼を得るが。  間接的にもまた同様。  噂や評判が、見知らぬNPCからの評価を上げる。  やる気がある人ならば、時間をかけずに友好度を上げられて助かる話だが。 「なんだかなあ」  面倒な話が浮上してきたな。  友好度の活用には、NPCへの知名度が必須。  こちとら野菜作りだ、トカゲ戯れだと手一杯だというのに。  これ以上、手間を増やさないでほしいものである。  つい昨日だって商品の売り込みで王都まで来て大変な思いを……? 「……ん? というかそれって、いまやってることそのまんまじゃね?」  大々的に商売をしてお客を集めに集め。  さらに商品を売るために、王都まで来て有名店にアピールした。  紛うことなき噂の伝播である。  なんのことはない、もうやってた。
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